緑黄色野菜に含まれる天然色素「カロテノイド」とは?
最終更新日:2022-02-04
野菜や果物の赤や橙、緑などの色素「カロテノイド」。カロテノイドは強い抗酸化力を持ち、眼病や生活習慣病、美肌ケアなど、私たちの身体を様々な方向から支えてくれる成分です。今回は、カロテノイドの主な成分とその働き、効率の良い摂取方法をご紹介します。


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病気予防、若さの秘訣など健康に欠かせないファイトケミカルの一つ「カロテノイド」。
カロテノイドの主な成分とその働き、効率の良い摂取方法を動画でもご紹介しています。
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1.カロテノイドとは


カロテノイドとは、野菜などの植物に含まれる天然色素の総称で、その数は自然界に600種類以上存在するといわれています。
カロテノイドは、大きくカロテン類とキサントフィル類に分けられ、水に溶けにくく、あぶらに溶けやすい性質を持っています。
カロテン類の代表的なものは、βカロテンやリコピンなどがあり、キサントフィル類の代表的なものは、ルテインやゼアキサンチン、アスタキサンチンなどです。
カロテノイドの中でも、人参やかぼちゃに含まれるβカロテン、柿やみかんなどの柑橘系に含まれるβクリプトキサンチン、トマトに含まれるリコピン、ほうれん草などに含まれるルテイン、鮭やイクラなどに含まれるアスタキサンチンなどが有名です。
果物・野菜をたくさん食べる人ほど、このようなカロテノイドの血中濃度が高くなります。このカロテノイドの血中濃度が動脈硬化や心血管トラブル、がんのリスク、老化に対して良い影響を与えるといわれています。
それぞれのカロテノイドは、複合で摂取する方が、高い相乗効果が期待されています。
カロテノイドを多く含む緑黄色野菜には、日本人に不足しがちな鉄やカルシウム、クロロフィルなどの栄養素がたっぷり含まれているため、積極的に補うことがおすすめです。
クロロフィルは、緑色素でカロテノイドと同じように強い抗酸化作用を持ち、体内の毒素を排出してくれる働きがある人気の成分です。
2.カロテノイドの種類と働き


カロテノイドは、強力な抗酸化力を持ち、体や肌の老化の原因となる活性酸素を除去して、細胞組織を守る働きがあります。
また最近では、ストレスを軽減させる働きにも注目が集まっています。カロテノイドは、その種類によっても働きかける体の部位や特徴が異なります。
■ βカロテン
βカロテンは、体内で必要に応じてビタミンAに変わったり、ストレスや紫外線等のダメージから体を守る働きがあります。
皮膚や粘膜の健康維持、肌のシミ予防、夜間の視力維持に期待され、最近では、ALSなどの神経病のリスク低下作用も報告されています。
■ βクリプトキサンチン
βクリプトキサンチンは、βカロテンと同じく、体内で不足したビタミンAを補う働きと強い抗酸化力を持っています。
肝機能障害や動脈硬化、インスリン抵抗性といった生活習慣病、加齢に伴う骨粗しょう症を予防する働きに期待されています。
■ リコピン
リコピンは、ビタミンEの100倍以上の抗酸化力をもつため、悪玉コレステロールの酸化を防ぐことから、血流を改善や、生活習慣病の予防に期待されています。
また、肌のくすみやシミの原因であるメラニン色素の生成を抑える美容成分としても人気です。
■ ルテイン&ゼアキサンチン
ルテインやゼアキサンチンは、ともに眼球で最も光が集まる部分であり視力を支えている「目の黄斑部」に存在し、目の健康維持に深く関係しています。
目から入るブルーライトや紫外線などの有害な光を吸収し、病気の原因となる活性酸素を抑制する働きがあることから、白内障や黄斑変性症の予防に期待されています。
■ アスタキサンチン
アスタキサンチンは、カロテノイドの中でもとびぬけて強い抗酸化力を持っています。
アスタキサンチンは、栄養が行き届きにくい毛細血管や細部まで入り込むことが出来るため、目や脳のアンチエイジングに期待されています。また、その強力な抗酸化力から、美白や美肌にも人気です。
3.カロテノイドを含む食べ物と上手に摂取するコツ
βカロテン


βカロテンが多い食品は、にんじん、かぼちゃ、ほうれん草、ケールなどの緑黄色野菜や、かんきつ類、スイカなどの果物です。
βカロテンは脂溶性のため、効率よくとるためには、オイルを使った調理がおすすめです。にんじんやほうれん草は毎日続けやすいですね。βカロテンを毎日しっかり摂取したい場合は、ケールが入った青汁などもおすすめです。
βクリプトキサンチン


βクリプトキサンチンは、温州みかん、ぽんかん、パパイヤ、柿、赤ピーマンなどに多く含まれています。
βクリプトキサンチンは熱に弱く脂溶性ですので、あまり調理せずに食べるとよいですね。
みかんは特にβクリプトキサンチンを豊富に含んでいるため、みかんを1日3個程度、食後に食べることがおすすめです。
リコピン


リコピンは、トマトやスイカに豊富に含まれます。
リコピンは比較的、熱に強い性質をもち、加熱により吸収性が高まるため、生のトマトより加工品の方が2~3倍程度リコピンを吸収しやすいと言われています。リコピンを効率よく摂取するには、リコピンの吸収が良いといわれる「朝」に食塩無添加のトマトジュースがおすすめです。
また、リコピンもほかのカロテノイドと同様に油と一緒に摂ると吸収率がアップするので、トマトスープなども良いですね。
ルテイン&ゼアキサンチン


ルテインやゼアキサンチンは、主にほうれん草などの緑色葉物野菜、プルーン、アボカド等に含まれます。
ルテインやゼアキサンチンも脂溶性の為、ドレッシングなどの油分と一緒に摂ることで吸収率が高まります。
ただ、ルテインやゼアキサンチンは微量に含まれる成分のため、体内で十分な効果を発揮するには、大量に食べなければいけません。そのため、サプリメントで摂ることもおすすめです。
アスタキサンチン


アスタキサンチンは、鮭やいくら、カニ、エビなどに豊富に含まれる赤い色素。
アスタキサンチンの1日の推奨摂取量(12mg以上)を摂るためには、サケの切り身なら4~6切、エビは約20匹をとる必要があり食べ物からでは難しいため、サプリメントの利用がおすすめです。
アスタキサンチンは眼精疲労を回復しやすくさせる働きがあるため、目が疲れたと感じてから摂るのではなく普段から小まめに摂ることが推奨されています。
4.カロテノイドの効果についての研究
■ 肥満とカロテノイド


カロテノイドの一つであるリコピンを豊富に含むトマトを毎日食べることで、コレステロールや中性脂肪の値が改善するという研究報告があります。
その理由として、悪玉コレステロールが活性酸素によって酸化すると、血管壁を傷つけ、コレステロールが蓄積しやすくなり、血管が詰まりやすくなったり動脈硬化のリスクを上昇させるといわれているからです。
トマトを食べることで、抗酸化作用によりこの酸化悪玉コレステロールを減らせることが分かっています。そのため、リコピンなどの抗酸化作用は糖尿病や脳卒中、心血管病、高血圧の予防改善に役立つといわれています。
■ 記憶力とアスタキサンチン


アスタキサンチンは、エビやカニなどに含まれ、カロテノイドの中でもずば抜けて強い抗酸化作用を持っています。日本とアメリカの研究において、このアスタキサンチンの摂取と運動を組み合わせることで記憶力の向上効果が高まることが分かっています。
アルツハイマー型認知症では、特に記憶に重要な“海馬”という部位が早期に障害されますが、軽度の運動とアスタキサンチン摂取により、この海馬に働きかけて記憶力の向上が期待されています。
■ 膀胱がんとカロテノイド
カロテノイドの摂取量や血中のカロテノイド濃度と膀胱がんのリスクについて研究報告があります。
オレンジやタンジェリンに多く含まれるβクリプトキサンチン、ニンジンに含まれるαカロテンやβカロテン、ホウレン草やブロッコリーに含まれるルテインやセアキサンチン等のカロテノイドを毎日の食事で多くとることで膀胱がんリスクが減少することが分かっています。
また、喫煙者と飲酒の習慣がある人の肺がんリスクや肝機能リスクにおいても、食事によるβクリストキサンチンの摂取はリスクを低下させることが報告されています。
また、リコピンを多く含むトマトは、前立腺がんや乳がんなど、がんのリスクを軽減するとも言われています。
*保険指導リソースガイド *TSUKUBAJOURNAL *PubMed
5.まとめ
緑黄色野菜に多く含まれるカロテノイドは、強い抗酸化作用で体のダメージや老化の原因となる活性酸素を抑制する役割があります。カロテノイドは種類も様々で、それぞれ眼病や癌など様々な生活習慣病の予防、そして肌のアンチエイジングにも期待されています。毎日の食事やサプリメントで効率よくカロテノイドを取り入れ、心身ともにいつまでも若々しく健康に過ごしましょう。