癒しのハーブ?アダプトゲンとは
最終更新日:2022-03-07
「アダプトゲン」と呼ばれる万能ハーブをご存知でしょうか。不安やストレスをケアして精神的な疲労や肉体的な疲労を癒してくれるハーブです。今回はこの「アダプトゲン」についてご紹介いたします。


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「アダプトゲン」と呼ばれるハーブをご存知でしょうか。
不安やストレスをケアして精神的な疲労や肉体的な疲労を癒してくれるハーブを動画でもご紹介しています。
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1.アダプトゲンとは


アダプトゲンは、肉体的疲労のケアやストレスに対する抵抗力を高める働きが期待されている植物の総称。
アダプトゲン(Adaptogens)は、英語で「適応を促進させるもの」という意味を持っています。アダプトゲンという言葉は、1940年代にソ連の科学者によって初めて提案されたといわれています。
アダプトゲンと認められた植物のほとんどは、抗ストレスホルモンや免疫システムのバランスを保つ働きがあり、滋養強壮や免疫アップ、ストレスや不安へ働きかけ、精神的・肉体的疲労を和らげてくれるハーブとして注目を集めています。
アダプトゲンはビタミンやミネラルのような直接的な栄養素の一種というわけではなく、「ストレスへの抵抗力を高め、体の正常な機能を助ける働きがある植物」「疲労、感染、うつ病などのストレス状態を緩和するもの」と定義されています。
そのため、5000種類以上ある薬物植物のうち、アダプトゲンと認証されている植物は20種類程度しかなく、どれも希少価値が高いものと言われています
■アーユルヴェーダで使われるハーブ


アダプトゲンがとされるハーブは、インドの伝統医学であるアーユルヴェーダで使われるものがほとんどです。
古来、インドでは医学界と宗教が二分することがなかったため、医学界は体だけでなく、心も霊性も診る役割を担ったと言われています。
そのため、古代のアーユルヴェーダのリシ(賢者)たちは積極的にアダプトゲンを発見したのかもしれないと言われています。
*A preliminary review of studies on adaptogens - PMC
2.アダプトゲンの働き
様々な働きがあるアダプトゲンですが、ここでは代表的な働きを紹介します。
■ コルチゾールのバランスを保つ


アダプトゲンの中には、ストレスを感じた時に増えるコルチゾールのバランスを保つ働きを持つものがあります。
コルチゾールは、副腎皮質から分泌されるホルモンの一種で、心身がストレスを受けることで急激にその分泌が増えることから、「ストレスホルモン」とも呼ばれています。
コルチゾールの分泌過多は、ストレスから身を守ろうとして起きる現象ですが、コルチゾールの分泌は、脳の海馬を委縮させるほか、免疫系・中枢神経系・代謝系など、心身のさまざまな機能に影響を及ぼします。
アダプトゲンは、このコルチゾールを多量に分泌させないようにコントロールすることで、ストレスによる不調を引き起こしにくく、ストレス抵抗性を高めることができるといわれています。
■ 抗ガン


ある研究では、アダプトゲン植物ががんのリスクを減らすことができると報告されました。
アダプトゲンは、免疫機構と密接に関係し、がん細胞の産生阻害、人体機能の安定、細胞修復の促進など、多方面から抗ガンをサポートする働きがあるといわれています。
また、上記で紹介したストレスホルモンをコントロールする働きから、ガン腫瘍の成長を抑制する可能性も示唆されています。
3.アダプトゲンの種類
約20種類あるといわれるアダプトゲンの中でも人気のあるものをご紹介します。
■ ストレスや不安に


アシュワガンダ
アシュワガンダは、インドの伝統医学アーユルヴェーダでよく用いられる低木の植物です。
アシュワガンダは自律神経を整えることで、ストレスに対する適応能力や抵抗力をサポートする働きが分かり、心をリラックスさせて元気にしてくれるハーブとしても注目を集めています。
また、アシュワガンダの根や葉にアルカロイド類やステロイダルラクタン類、サポニン類、その他にも鉄などのミネラルも豊富に含まれているため、古くから強壮滋養にも人気があります。
ホーリーバジル
ホーリーバジル(別名:トゥルシー)とは、東南アジア原産のシソ科の植物。インドの伝統医学アーユルヴェーダでは、数千年にわたって「聖なるバジル」として親しまれて、「ハーブの女王」とも呼ばれています。
ホーリーバジルは、集中力を高め不安を和らげることから、精神的疲労のケアや気持ちを安定させる作用に期待されています。
ある臨床試験では、患者の不安障害、および関連するストレスやうつ病が大幅に軽減されたことが報告されています。そのほかにも、呼吸器系に働きかけ、免疫力をサポートしてくれる働きも注目を集めています。
■ 倦怠感・疲労感に


高麗人参
高麗人参(こうらいにんじん)は別名で朝鮮人参、パナックスジンセンとも呼ばれる、ウゴギ科の植物。中国では貴重な漢方薬として古くから用いられてきました。
健康に欠かせないミネラルや、身体を作るアミノ酸などの栄養が豊富で、有効成分のジンセノサイド(サポニン)に血行を促す働きかけが分かり、疲労回復やエネルギー代謝サポートなど広く利用されています。また、自律神経をサポートすることでストレスケアも働きかけます。
高麗人参に関するいくつかの臨床試験では、人々の疲労レベルを大幅に低下させたことが分かっており、ガン治療を受けている患者の疲労ケアなどにも推奨されています。
ロディオラ
ロディオラとは、アジアからヨーロッパにかけての高地に生息しているハーブのひとつ。古代より肉体疲労や精神疲労ケアとして民間療法で利用されてきました。
滋養強壮や精神的なストレスをサポートすることから、神経系への働きかけが注目され、米国を中心に抗疲労、抗うつ、認知機能の研究が進められています。夜勤勤務者への臨床研究では、ロディオラが倦怠感を大幅に軽減できたという結果も報告されています。
マカ
マカは、標高4,000m以上の南米ペルーの高地で育つ野菜のこと。
寒暖差が激しく日差しが強いといった厳しい気候の中で育ち、大地の恵みをたっぷり含んだマカは、ビタミンやミネラル、アミノ酸など栄養豊富なことから古くからスタミナ源として重宝されており、滋養強壮に使われてきました。
また、滋養強壮や精力増強のほか、女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをする成分を含んでいることが分かり、女性の更年期障害の症状の改善、肌の老化防止にも期待されています。
エゾウコギ
エゾウコギは、高麗人参やアメリカジンセンと同じウゴキ科の植物。
別名シベリアジンセン、エレウテロとも呼ばれシベリアや中国、北海道などに自生しています。栄養価が高く、ロシアでは「命の根」と呼ばれ、中国では2000年以上前から漢方薬として使用されてきました。
近年の研究で、エゾウコギに含まれるエレウテロサイドなどの有効成分に、免疫機能、ストレスや疲労回復への働きかけがわかり、滋養強壮や健康サポートをはじめ、広く使用されています。
冬虫夏草
冬虫夏草(トウチュウカソウ)は、冬の間には虫に寄生し、夏になるとキノコに形を変えて姿を現すことからその名が付いたキノコの一種。中国では不老不死の生薬として歴代の朝廷が求めたと言われています。
冬虫夏草には、十数種類のアミノ酸、ビタミンE、カルシウム、鉄、亜鉛などの栄養素が豊富に含まれており、滋養強壮の作用をもつコルディセピンや免疫細胞を活性化させるベータDグルカンが豊富に含まれていることから、免疫力アップや滋養強壮に人気の成分です。
■ 免疫アップに


霊芝
霊芝は、湿気のある山林に自生しているサルノコシカケ科のキノコの一種。
別名マンネンンタケとも呼ばれ中国では、古くから“幻のキノコ”として漢方医療に使用されてきました。アミノ酸やカルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、鉄、亜鉛、マンガンなど豊富な栄養素が含まれているほか、自己免疫力を高めるキノコ独自の成分ベータグルカンを含み、免疫力サポートやアレルギー緩和に期待されています。
実際の臨床研究でも、化学療法または放射線治療を受けているガン患者の特定の白血球数の増加の働きが報告され、ガン治療の組み合わせや腫瘍の縮小への働きかけなど、その免疫強化の働きは評価されています。
リコリス
リコリスは、別名甘草とも呼ばれ、ヨーロッパやアジア原産のハーブの一種で、古くから漢方薬として使われてきました。漢方で用いられるのは、根や根茎を乾燥させたもので、消化器の機能を高めたり、呼吸器サポート、炎症ケアなどに期待されていました。
リコリスに含まれるグリチルリチン酸には、ウイルスに対する抵抗力を高める働きがあり、免疫力を向上させるほか、ストレスや炎症に対抗する副腎皮質ホルモンの働きを高めるといわれています。
アストラガルス
アストラガルスは何世紀にもわたって中国で漢方薬として使用されてきたマメ科の植物のひとつ。根の部分が漢方のひとつとして、風邪や胃潰瘍、糖尿病、食欲不振、虚弱、心身の疲れや滋養強壮に用いられてきました。
また、近年ではアストラガルスに含まれる有効成分アストラガロサイドが免疫力を高めるとして注目されているほか、抗菌、抗ウイルス、消炎、利尿などの幅広い作用が確認され、インフルエンザや慢性疲労症などさまざまな疾患の予防や治療に用いられています。
チャーガ
チャーガは、和名でカバノアナタケと呼ばれる、サルノコシカケ科に属するキノコ。ロシアや北欧などの極寒の地で成長する生命力の強い白樺の木に寄生して、その樹液を栄養源に成長し、最後には破壊してしまうほどのパワーを持っています。
ロシアでは古くから民間薬としてお茶のように飲まれてきました。近年の研究で、体の抵抗力に働きかけるベータグルカンが豊富に含まれていることが分かり、免疫機能への働きかけに注目を集めています。
このほかにも、党参、イボツヅラフジ、アマチャヅル、ルージァ・カルタモイデス、朝鮮五味子、シラジットなどがアダプトゲンとして存在します。
4.アダプトゲンの摂り方


アダプトゲンの中には、ホーリーバジルのように食事の一部として食べることができるものもあれば、サプリメントとして活用されたり、ハーブティーとして利用されているものもあります。
また、アダプトゲンも身体によいからと言って、たくさん摂ればよいというわけではありません。 アダプトゲンの中には、お薬と干渉してしまう成分も存在しますので、治療中の持病がある場合は、あらかじめかかりつけのお医者様に相談されることがおすすめです。
5.まとめ


ご紹介したように、アダプトゲンを含んでいるハーブはインドの伝統医学であるアーユルヴェーダで使われるものがほとんどでした。アダプトゲンは免疫力をアップさせるだけでなく、精神的疲労や肉体的疲労の改善に期待されているため、ぜひお試しください。